神戸市北区で農業スタート

農業に対する想い

2021年2月16日、新規就農者として神戸市北区八多町の農家になりました。農家になった感想は「やっと農家になれた」という感じです。これまでの9年間は愛知県、兵庫県でサラリーマンとして農業に関わってきました。独立すると決めたのは愛知県の種苗会社の研究農場で働いていた時。実家が鉄工所を営んでいたこともあり、いずれは家に帰るのかなと思いながら入った会社で初めて触れた農業にはまってしまいました。兵庫県のJAに転職した後も最先端施設園芸での仕事を通して農業への興味が増し、農家への想いは強くなりました。しかし、農家になりたくても非農家の自分にはなかなか農家になるのは難しく時間がかかりました。自分なりに技術を習得し、農家になる準備を進めてきたのに肝心な農地が決まらない。断られ続け、何度か心が折れそうな時もありましたが農家になりたいと思ってから7年目でようやく神戸市北区で農地が見つかりました。時間がかかったからこそ、今まで考えてきた農業を思いきりやってみたいと思っています。

どんな想いをもって神戸市北区にしたか

農家を志した頃から農業の産地ではなく消費地に近い場所で農業がしたいと考えていたこともあり、JAの仕事で神戸市北区に住み始めたときからここで農業がしたいとずっと思っていました。神戸市北区は日射量も少なく、非常に寒い地域のためあまり農業に適した地域ではないかもしれません。農地を探しているときもよく言われました。しかし、北区での農業はデメリット以上にメリットもあると思っています。1番の魅力は阪神間などへのアクセスが良好であるため消費者に新鮮な野菜を届けることができること。産地には出来ないことにも取り組んでいきたいと思っています。また、やってみて気づいたことは周りの人が本当に優しいこと。よそ者が農業を始めているのに温かくサポートしてくれたり、今後を期待してくれている方も多くいます。農業を始めてからどんどんこの地域が好きになっています。今後の目標はもっと技術を磨き、北区だからできる農業に挑戦することです。

スタートまでの苦労

2月でJAを退職し、ようやく農家にはなれたものの、いちごの栽培は9月からで初収穫は順調にいっても11月下旬のためそこまでは収入がなく今までで1番長く感じた時間でした。それに加えて準備のための費用や思いがけない出費がかかるため経新規就農のスタートアップは経済的にかなり厳しいところからのスタートです。また、いちごの栽培槽に土をいれる作業や定植のための穴開けなど定期的に準備作業もあるのですが人を雇用するのはまだ厳しいので家族に手伝ってもらいながら準備を進めています。妻に至っては9月27日に出産を控えながらも9月20日の定植まで手伝ってくれました。手伝ってくれる家族にも感謝しながら、いずれは恩返しをという思いでこれから頑張ります。

定植までの振り返り。

2020年の8月に農地を確保でき、まず取り組んだのは農地内の除草。周りに迷惑をかけないように下手くそながらひたすら草を刈る毎日。次に取り組んだのはハウスの仕様の決定。先輩農家さんにハウスを見せてもらったり、いちご狩りに行ってみたりしながらハウスの仕様を決めていきました。2月にハウスが完成し、そこからは土入れ作業。約650袋の土をひたすら固めながら入れていきました。この作業はなかなか大変で人生初の肩こりも経験しました。7月は長雨が続いたことでハウスの中が浸水し、大変なことに。スポンジで地道に水を吸い取ったり。ハウス周りに素掘りの溝を80m掘ってみたり。U字溝を入れてみたり。毎日泥だらけの日々が続きました。8月は定植の準備で約12500苗の植え穴を開ける作業。とにかく人がいないので時間がかりましたがなんとか定植に間に合いました。文字で書くと短いですが一つ一つの作業はしんどく、もうやりたくないなと思う作業が多かったです。でも時間のある今しかできない作業と思いながら一つずつ解決していけたかなとも思っています。これからはもっと大きな問題に出くわすこともあると思いますがそれも楽しみながら乗り越えられたらいいなと思っています。

農業経営に対する決意

サラリーマンでの農業は本当に楽しかったです。技術をつけたい、後継者を育てたい、産地を作りたい。色んな思いを持って真剣に農業に取り組んできました。サラリーマン農業に十分やりがいを感じていたからこそサラリーマン農業よりもワクワクする農業がしたいと思っています。やりたいことはいっぱいあります。足下を固めながら30年後を見据えた農業経営をしていきたいと思っています。いちごでスタートを切ったのもそのためです。今は夢物語ですが一つ一つ目標に向かって進んでいきたいと思っています。また、サラリーマン農業で取り組んできた後継者の育成や産地作りはこれで終わりではなく農家として出来ることは引き続き頑張りたいと思っています。まずは農家として成功し、自分の経験を活かして新規就農者のフォローなどもしていきたいと思っています。

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